親育ち・親子本能療法

30年のひきこもり支援から導き出された 他にはない回復方法

 親育ち・親子本能療法(Parent-Centered Need-Fulfilling Therapy)は一般社団法人SCSカウンセリング研究所(以下、SCS)で主に臨床を担ってきた桝田宏子(以下、桝田代表)によって創始された療法です。
 その支援30年の姿勢は、就労就学に至らせた数を主とする業績優先ではなく、ひきこもりに悩む青年達の「本質的に豊かな回復(すなわちアイデンティティの獲得と自己実現の道へ歩む力を身につけること)」を主眼としています。
 また、ひきこもり支援の過程において導きだされた療法であり、臨床現場にその起源があります。

特徴はわが子の問題に「親が主体的に参加する」こと

 その特徴はわが子の問題に「親が主体的に参加する」ことにあり、子の問題の解決・回復を目指しながら、主に取り組み続けるのは「親」であり続ける点にあります。この「親が主体的に取り組む」という他にはない回復方法を求めて、ひきこもりの子を持つ親御さんが関東近県はもちろん、北は北海道・南は九州からもお越しになります。
 今でこそ完全に「親が取り組む」というスタンスを取っておりますが、SCS前身団体時代は、問題を抱えるひきこもる本人を対象にする、いわゆる普通のひきこもり支援をしていました。つまり、最初から親が主体的に参加するという方法をとってはいなかったのです。
 その当時は、青年自らなんとか自分で自分の人生をとりもどすべく施設を訪れたり、親に連れられてきた青年たちの話を聴き、時間をかけ、心理療法を施し応援していました。すると、彼らは奮起し、前向きに就学、就労に向かうのです。ところが、彼らの多くは数日から数カ月、長い方は数年後、中には結婚されてから再度ひきこもり状態に至る、いわゆる「ぶり返しの状態」に戻っていったのです。

「回復していく子の親」と「回復していかない子の親」の違いに注目

 一方で、ぶり返しもなく、あったとしても休息的なぶり返しで済みながら、自分の人生をイキイキと取り戻し、回復する青年たちも居ました。桝田代表はこの2極的とも言える違いに注目しその要因は何かと考察したところ、その違いは『親の、子に対する関わりの質』である点に気がついたのです。
 それから、ひきこもる青年たちを回復に導いた親に共通する要因を抽出し、その関わりを精査し一つにまとめ上げたのが親育ち・親子本能療法なのです。
 そして、親育ち・親子本能療法を筆者が研究と臨床合わせて11年の歳月をかけて研究し心理学的に体系化したのです。

臨床心理士による『親育ち・親子本能療法』の体系化

 心の問題に取り組む専門家・カウンセラーは沢山いますが、「心理学」という点での知識とスキルは臨床心理士が頭1つ抜け出ております。
 臨床心理士は大学院を卒業(修了)して心理学修士号を取得して初めて受験資格が与えられるものです。専門分野の学術論文の全てにアクセスして情報を集め、真に役立つ方法を日々研鑽し支援にあたっているのは臨床心理士だけと言えます。
 心理学は「心の科学」であり具体性と再現性があるものです。つまり、「正しい方法を、正しい順番で、継続すれば結果を出せる」のです。
 ひきこもり回復においても、この視点はとても大切です。近年、わが子のひきこもり問題に悩む親御さんをターゲットとした悪質な支援者(主に宿泊型の就労支援に多い)が3ヶ月で300万円、半年で500万円を徴収して何もせずに閉じ込めて放っておいた事例が報道されております。
 心の回復は親が子に向ける「信頼」から始まることが心理学で分かっております。心理学と臨床経験の上に立脚し、回復までの道のりを5つのステップに分けて体系化したのが「親育ち・親子本能療法」となります。

ひきこもりから「自己実現」と「アイデンティティの獲得」へ

 人間には本来、生きる本能と自己実現に向かう欲求が備わっています。その活動がひきこもり状態や心の不適応という形で一時的に停止しても、それらを育む環境が整えば必ずまた動き出します。
 そして、その環境の中で「未消化であった心の課題(発達課題のやり直し)」に親子で取り組み、5つのプロセスを辿ることでアイデンティティ(「自分が自分でいい、そして社会からもそう思われていると思える確信」)の獲得の道を歩めるのです。
 わが子がいくつであろうと、その心を育みつづけるために親の成長、すなわち「親育ち」が必要なのです。

「親育ち」に必要なこと、聴く力

 ひきこもり・不登校のわが子に起きた問題を「親自身の問題として」考えてみることから全ては始まります。そして、勉強会とカウンセリングにしっかりと取り組み、わが子を回復させていく聴く力を養って頂きます。
 つまり、親の方が心理的に成長をしていくのです。そうして親の価値観を広げるべく行動し、我が子の心を理解し、頼りになる親として寄り添い続けることで、親子関係に良質な影響を引き起こしていくのです。
 わが子を回復に導けるか親の成長力が問われていくため、心理的に苦しい局面を迎えることもあります。そこを我々カウンセラーと一緒に検討し、乗り越えていくことで、親の変化がわが子の心に伝わり、わが子の人生に希望の火が灯っていくのです。

親育ち・親子本能療法の「5つのステップ」

①親との関係性の中で人生に「希望」を取り戻し、②「意志」が尊重されることで自分に価値を見いだす。③「目的」を帯びて行動し、④やがて集団世界の中に入り自分を位置づけるために葛藤しながら「有能性」を育む。⑤そこを乗り越えて「自分が自分でいい、そして社会からもそう思われていると思える確信」という、アイデンティティの獲得の道を歩む。

カウンセリング
わが子を回復に導くには「親の取り組み」が必要です。その取り組みを通して親の「やり方」と「在り方」両面を良質な方へ成長させていく事が何よりも大切になります。
親育ち・親子本能療法カウンセリングの特徴は「カウンセリング」ページをご覧ください。

親の勉強会
「親育ち」の部分はカウンセリングだけでは不十分なのです。親が見聞を広め、数々の事例からわが子に必要な情報を親の勉強会で得ることはとても重要です。何よりも、同じ問題に取り組んでいる「前向きな親御さん」たちの中に身を置くと孤独感が解消され、エネルギーの相互交換にもなるのです。

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