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不登校からの回復(スクールカウンセラー令和元年度によせて)

今年度もスクールカウンセラー(以下、SC)業務が修了しました。

私立大学付属は昨年度で離れましたが、東京都公立学校合わせてSC6年勤めさせていただいております。

スクールカウンセラーを始めようと思ったのは、私の専門が「ひきこもり」ですので、「不登校」にもお役に立てるであろうと思ったからです。

とは言え、臨床心理士を目指していた頃に一番関わりたくなかったのが学校なんです。

なぜなら、私の小学校・中学・高校に良い思い出が殆どないから(笑)。校内暴力等も若干ありましたが、比較的落ち着いた地域・学校。

 

(⬆︎写真の学校は勤務校ではなくイメージです)。

私は『学校そのもの』が好きではなく、担任の先生にも特段の思い入れもありませんで。中学以降、自分が何年何組で担任教員の名前も思い出せないほどてして。

中学で良かったことは、他界してしまった親友と出会えた事と初恋があったことくらいです。

 

 

当時好きだったTHE BLUE HEARTSの「少年の詩」という曲の歌詞に以下のようなものがありまして。

  • 「先生たちはいつも僕を不安にするけど、それほど大切な言葉はなかった」
  • 「別にグレている訳じゃないけど、ただこのままじゃいけないってことに気が付いただけさ」
  • 「誰のことも悩んじゃいないよ。ただ大人たちに褒められるようなバカにはなりたくない」

激しくこういった事を思っていました(笑)。

 

総中流化した社会の持つ同調圧力に対するアンチテーゼをパンクバンドが代弁していてくれた時代で、THE BLUE HEARTSの本気度は群を抜いていました。

パンクロックにより嫌な出来事やモヤモヤした気持ちが支えられ、持ち堪えることが出来たと思ってます。

 

それに、私が中学生だった33年前には不登校という概念、「学校へ行かない」という選択肢は誰の頭にも無かった時代でした。

 

 

これは、今日ほど社会的成熟度が高くなかった事もあるかと思いますが、「生きにくさ」が社会に今ほど蔓延していなかった事も大きいように思います。

高度成長期〜バブルでしたから、世の中に幸福が大凡平等に行き渡るなど経済要因も大きいと思います。

 

一方で、今の中学生・高校生の立場になって社会を見た時に「生きにくいだろうな」と正直思うのです。サバイバル化し、LINE等スマホにより家まで同調圧力がついてくる、諸要因による親の疲れを察して相談できない、子どもなのに生産性を求められるHSPなどの繊細性や、独特の感性がある子ども達は尚更キツい。

 

そして、そんな生きにくさがスタンダード(普通)の中、親が「普通」を強いてきたら「生きにくさだけの生活」になり、不登校になることも。

 

それだけでなく、自ら命を絶ってしまう子ども達が増えているのです(日本の自殺率で唯一増加しているボリュームゾーンは10代です)。

 

 

私は不登校化している生徒さんの「親御さん」をお呼びして、SCSの取り組みである「親育ち・親子本能療法」をご説明、『親子の信頼関係からのやり直し』に取り組んで頂いております。

 

正直、多少の自信はありましたが、私の予想を超えるほどパワフルな結果がでておりまして。

 

毎年、不登校生徒さんが「自分の意思」で再登校したり、中学には来なくても高校受験・進学を自分で選択、定着した高校生活へ移行していくのです。

 

もちろん、エネルギー(欲求感)の充填が間に合わず進学されない生徒さんもいらっしゃいますが、親子関係の改善と家庭内での元気の復活は当たり前に生じます。

やはり、不登校もひきこもりも「親が」その回復の鍵を握っているのです。

 

 

正直、私は「別に無理して学校へ行かなくても良いじゃん」と思っています。

 

ただ、問題なのは人間関係が寸断されたり、セルフネグレクト化して自己肯定感が下がってしまい、親にも他人にも助けを求めることができなくなること。すなわち、緩やかな自殺化してしまうセルフネグレクトスパイラルのリスクだと思います。

こういったリスクを最小化できるのは第一社会である家庭で一番影響力を持つ「親御さん」に取り組んでいただくことが何よりも有用だと思っております。

因みに、学力はいつからでも「やる気」と「目的」さえ生まれれば立ち向かいますし、実際何とかなります。

 

今年も最終日面接枠7件中、4枠不登校家庭の親子が来室して下さりました。

 

普段、不登校の場合は「親御さんの面接をメイン」としているので、生徒さんが来てくれるのはとても嬉しい。そして、数年見ない間に驚くほど成長していたりして驚いたりします。

(朝の管理職会議・イジメ対策委員会に出席しておりますが、面接枠がギッシリで校内観察が出来るのはドタキャンがない限り難しい状況です)。

 

 

親の取り組みの下で自ら回復した生徒さん達の目には「希望の光」があるのです。

 

ああ、この子達は大丈夫だな」と思える。

 

学校嫌いだった私。今の「SC業務は幸せな仕事」と思えるのも「親育ち・親子本能療法」あってのこと。

SCSカウンセリング研究所22年の取り組みに感謝です。

 

不登校の回復も、ひきこもりの回復も「親から始まる」のです。

あるお母さんがおっしゃって下さいました『桝田さんがスクールカウンセラーで本当にラッキーでした』と。

この結果の背景には、子ども達に労を惜しまない先生方あっての事ですが、本当にありがたいお言葉を頂戴したと思っております。

 

来年度も同じ学校でのスクールカウンセラー勤務も決まりました。気になる生徒さん達を見届ける事ができることも感謝です。

 

本日もお読みくださりありがとうございました。

 

桝田智彦(ますだ ともひこ)

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