わが子が、ひきこもりから回復する「親の合宿」。
なんか、怪しい…「2泊3日でいたら洗脳でもされるのではないか??」って思いますでしょうか(笑)。
ただ、「親の考え方が広がる・変わる・柔らかくなる」という意味では当たらずとも遠からず。
そんなSCS(私が副代表を務める支援施設)が開催する「親の合宿」。心理学的には「構成的エンカウンター・グループ(以下、エンカウンター)」と言います。宗教や自己啓発と区別するためちゃんと以下に説明しておきます。
エンカウンターとは「ノーマルな人のためのグループカウンセリング」とも言われ、何らかの精神疾患の治療が目的というより、お互いが素直に発言し、誠実に耳にを傾け合うことを通して、自分を見つめ、自己発見や他者とのつながりを発見するといった、自己の主体性の回復、自己成長を目的とする集中的グループ体験の総称」です(日本心理学諸学連合会(2009)より)。
ちなみに「構成的」というのは予め用意された心理学に基づく課題をグループで取り組むことを意味します。
SCSでは年に2回開催。今回は4月13日〜15日、2泊3日で神奈川県・三浦で実施しました。参加者は約30名、お父さんだけ、お母さんだけ、ご夫婦で参加の方もいらっしゃいました。
あんまり中身を詳しく書いてしまうと、参加者の方に申し訳ないので掻い摘んで内容をご紹介します。
興味深かったのが2日目に坂本臨床心理士が用意してきてくれた、「FIT (Family Image Test) 家族イメージ法」と言うプログラム。
家族に見立てた5種類の丸シールと3種類の線の組み合わせから、日常、口にされることのない家族イメージが明確になるというもの。私自身も初めて体験した!
これがまた、私自身の「家族」と「家族関係」が浮き彫りになって面白かった!…。
って、ひきこもりの子を持つ親御さん(以下、お親御さん)がどうだったか気になりますよね。
FITを経験したあるお父さんは「自分が影響力強いのに、我が子や家族と結びつきが『弱い』ことがわかりました。影響力が弱く、結びつきが強い『縁の下の力持ち』になることが必要だと分かりました」。
また、別のお父さんは「出来上がったFITを見て、自分はまだ父親になる覚悟が出来ていなかった様に思います」と素直な感想を語られました。
あるお母さんは、「ひきこもるわが子は、父親を気にしている。やっぱり“ここなんだな”と思った」「何の気なしに置いたシールが、ここまで心理を表すとは思わなかった」とおっしゃる方も。
こういう「気づき」をしっかり捕まえられるのがとても大切!。こういうワークを経験して初めてハラオチする事もあるのです。
我が子の回復の為に、そして自分の為にエンカウンターに参加される親御さんは心理的に成長されるのです。
エンカウンター後に母親・父親講座でお会いしたり、カウンセリングでお会いすると「何か変わってきてらっしゃる!」と感じるものです。
この「親が変わってくること」が非常に強い「ポジティブな影響力」となってひきこもるわが子に伝わって行く…こういった事の積み重ねで育まれる「親の力」がひきこもりを回復させていくのです。
その意味で、わが子がひきこもりから回復する「親の合宿」は存在するのです。
本で学べるのは「やり方」、親が実際動いて身につけるのが「在り方」。
両方揃うことが大切な様に思います。
桝田智彦(ますだ ともひこ)
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