あけましておめでとうございます。
お正月は仕事から完全に離れ、読みたかった本とお酒三昧で過ごさせて頂きました。
数日でも完全に離れてみると冷静に自分のカウンセリングを振り返る事ができたり、2020年の新たな目標がみつけられたりと有意義な時間となりました。
振り返れば昨年は波乱万丈でして。SCSカウンセリング研究所スタッフにとってかなりタフな1年でした。
そんな中でも『“親育ち・親子本能療法カウンセラー”って幸せだな』と感じることが多々あるものでして。
親とともに“ひきこもりや心の病(統合失調症、躁うつ病、パーソナリティ障害、キツい神経症等)”から、青年が“自分の人生を自分の素直な欲求感に従って“取り戻していく姿を目の当たりにするのは感動的です。
年末の面接で、ある青年が涙ながらに私の手を握り、『ずっと苦しんできた…やっとココまでこれました』と声を詰まらせながら感謝を伝えてくれました。
青年の背景を考えると、こう伝えて頂けて嬉しいです。ただ一方で、その後ろには“しっかりとした親御さんの数年の取り組み”あってのこと。
私のカウンセリングが特別優れている訳ではないと思います。
もっと言えば、親御さんへカウンセリングをさせて頂いていると“私自身が学ぶ”のです。
あるお父さんは、定年後も仕事を探し、決して楽とは言えない職種で働き続けています。働き続けるその理由は“ひきこもっているわが子を支えるため”です。
そのお父さんは私にこう言いました(ご紹介する許可を頂いております)。
『我が子がひきこもっている。その苦しみを自分が変わってやる事は出来ない。だから、絶対的な味方でいようって。』
『自分の命にかえても、我が子を支え切らないと。俺も変えてもらった。こんな老人に“我が子を支えきる”という目標を与えてもらった。』
『こんな目標を貰える老人って中々いないと思うんです。こういうふうに思える私にしてくれて(わが子に)感謝してます』。
『そう思うと仕事も辛いと思わなくなって来たし、身体もキツくない。(わが子が)働くなんてオマケみたいなもので、大切なのは自分を取り戻してくれる事だって。』
『最近、(わが子が)良く笑うんですよ(笑)』
…私はこの言葉を聞いて『!』。じ〜んと胸に染みるモノを感じると共に絶句する思いを覚えました。
私がいつか65歳になった時に、そのお父さんと同じ立場・環境に置かれたら、同じ言葉を言えるだろうか?歳下のカウンセラーに素直に頼れるだろうか?と。
今の私は、『自分も絶対出来る!』と言える自信はありません。
たがらこそ、私はこのお父さんから学ぶのです。
こんなふうにお伝えすると、逆転移だとか言われそうですが、そう思われる方はそれで結構です。
私はここ数年、『素直さ』って人間の最大の武器なのではないかと思っています。
人間、特に日本人は思春期辺りから急速に『素直さ』を失っていく様に思います。スクールカウンセラーをやっているので尚のこと思います。
そして一度失われた素直さは、砂漠に埋もれるが如く、再び取り戻すことが難しいとも。
死ぬ思いをするか、アクシデントやトラブルなど、余程の事を受け、自分で自分を再点検しないと、砂の中に失われた『素直さ』を再獲得するのは困難を極めると思います。
私が思うに、素直さを持っている人って『誤魔化さない』んです。だから、人として風通しが良い。
だから、とても魅力的だし、芯もあるので周囲にいる人が安心出来る(誤魔化し続けている人には脅威に映ることも)。
『親がアテになり、理解してくれる』。我が子にとってこんな力強い存在は他にありません。
『親がアテになり、理解できる様になるため』には、素直に我が子の言葉に耳を傾け、素直に我が子の現状を受け入れることから始まります。
「素直さが大切である」。こういうことに気がつけ続ける、私の仕事は恵まれていると思うのです。その理由の一つは、私も父親だからです。
ある時地獄を見た気がしている私の素直さもまだまだかなと思います。
本年も、皆様から学びながら少しでも成長した臨床心理士となり、社会に役立てるよう励んで参ります。
本日も、ブログをお読み下さりありがとうございます。
桝田智彦(ますだ ともひこ)
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